1937年、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督
ジャン・ギャバン主演、ヒロインはミレーユ・バラン。
舞台は、当時まだフランス領であったアルジェリア、カスバ。
数々の犯罪の被疑者であるペペ・ル・モコが潜む町。
私たちが、アフリカで、地中海沿岸で、
とても入り組んだ迷路のようなところ、と聞くと思い浮かべるような典型的な町。
傑作『アルジェの戦い』でもカスバが取り上げられており、
しかもこちらはドキュメンタリータッチとあって町並みがより詳しいので、
気になった方は一度見てみて欲しい。
主演は言わずと知れた、フランス映画史上最も有名なジャン・ギャバン。
ヒロインはミレーユ・バラン。
ギャバン演じるペペは、カスバを一歩でも出ると捕まる運命にあるのだが、
そんな折に出会った美しい女性ギャビー。
彼女にパリの話を聞かされ、懐かしさとギャビーへの恋心に揺れ動き、
カスバを出ようかと迷う……
この映画の原題は『Pépé Le Moko』ですが、
シンプルに『望郷』としているのはうまく意訳していると思います。
昔から名作映画として名高い本作、今見ても面白い。
なぜでしょう、ギャバンとか健さんとか三船とかデコちゃんとか、
カリスマ性を持った人が一人でも出ていると、
自ずからそこにドラマが生まれ、いつまで経っても面白いものが多いのです。