島尾敏雄『死の棘』

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夫の浮気が原因で狂ってしまった妻。

その極限を描いた作品で、作者である島尾敏雄の実話に基づく。

 

昨年の夏から読み始め、ようやく読み終わった。

昭和を代表する文学作品の一つですが、ともかく長い。

その上、ずっと堂々巡りの内容。

ひたすらミホが嫉妬にとらわれ、夫を責め続ける話。

重苦しく、救いがない。

ミホが見せるのは、夫に対する仮借ない、激しい執着。

夫が浮気相手に対してみせた様々な優しい行為は、

自分にはしてくれなかったことだと徹底的に糾弾する。

快方に向かったかに見えたそぶりは、際限なく裏切られる。

すべての出来事が、過去の浮気につながり、

すべての女性が浮気相手に似て見える。

夫が行った不貞行為を、すべて包み隠さず正直に話せ、

写真をすべて出せ、手紙をすべて取り返せ。

自身の醜い行為を、何度も何度も記憶の中から掘り出させられるうち、

何が真実なのか、あとからあとから醜悪な行為が暴き出される。

 

不倫文学は数多ありますが、

それによって狂ってしまった妻を描き、決して美しいものとしてでなく、

ひたすらリアリスティックに表現したのはこの小説くらいなものでしょう。

 

最後の最後まで救いはないけれど、

実際の作者「トシオ」は、その後ミホと一緒に

質素な贖罪の日々を奄美で送ることになるのです。

 

浮気や不倫の一つの結末として、

ご興味ある人にはぜひ読んで欲しい作品です。

 

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