『栞子さんの本棚』

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人気ライトノベル『ビブリア古書堂の事件手帖』に登場する本を集めたセレクトブック。

絶版本や稀少本が扱われていることが多く、マニア垂涎ものも少なくありません。このセレクトブックの中でも特に注目すべきは、再評価著しいアンナ・カヴァン『ジュリアとバズーカ』、新潮から出たレアな復刻文庫でないと読めない佳作『落穂拾ひ』、ロバート・F・ヤングの傑作『たんぽぽ娘』でしょう。

この三作は抜粋ではなくて全編収録されています。どれも短編ですが、文学青年・文学少女なら一度は読みたいと思ったことのある作品ばかり。個人的には『たんぽぽ娘』と、前にとりあげたことのあるアンナ・カヴァンは殊に優れていると思います。

『たんぽぽ娘』はサンリオSF文庫にも収録されたことのある、叙情的SFです。タイムトラベルを、女性の繊細な心の動きと絡めた、絶妙な小説。これは何度読んでも考えさせられるし、素晴らしい。

「おとといは兎を見たの。昨日は鹿。今日はあなた」

という有名な一節は、やっぱり、とても美しいと思う。

それに対しアンナ・カヴァンには一点の温もりもない。冷えた作家です。以前、『氷』の時にも書いたことはありますが、これほどまでに孤独を、そこから来る寒さと冷えを感じさせる小説家、執拗に人肌の温もりを求める作家は類を見ない。絶望的なまでに孤独なのです。

他にも梶山季之『せどり男爵数奇譚』は、今ではあまり読まれない作家の名作。フォークナー『サンクチュアリ』はアメリカ文学の傑作。宮沢賢治の『春と修羅』から『永訣の朝』など。気が向いたらぜひ。

 

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